国内人権機関

国内人権機関(こくないじんけんきかん、英語: National human rights institutions、略称: NHRIs)とは、1992年国際連合人権委員会の決議1992/54に採択され、1993年国際連合総会決議48/134に拠って承認された国内機構の地位に関する原則(パリ原則)によって規定される、政府から独立した国連加盟国の国民の人権水準の向上のため、政府、議会及び権限を有する全ての機関に対し、人権の促進及び擁護に対するすべての事項について、助言、意見、提案、勧告を行う機関である。現在この原則に従い、世界110か国が相当する国内人権機関を設けているが、日本には未だ存在しない[1]

国内人権機関はウィーン宣言及び行動計画[2]障害者権利条約[3]においても言及されている。なお国内機関の地位に関する原則(パリ原則)については法務省もその全文の日本語訳を紹介している[4]

パリ原則の概要

国内機関の地位に関する原則は、「権限及び責務」、「構成及び独立性及び多様性の保証」、「活動の方法」、「準司法的権限を有する委員会の地位に関する補充的な原則」の四部で構成されている。

第1部では、「当該国家が締約国となっている国際人権条約と国内の法律、規則及び実務との調和と条約の効果的な実施を促進、確保すること」や学校、大学、職場での人権教育や研究の促進、あらゆる形態の差別、特に人種差別と闘う努力と宣伝をすることなどが規定されている。

第2部では、国内機構の構成とメンバーの任命について、多元的な代表の確保、人権に関するNGOや専門家組織、哲学または宗教思想の潮流、大学及び資格を有する専門家、議会が参加すること、政府の財政的コントロールに服し独立性を損なわれることがないように、充分な財政的基盤を持つことなどが規定される。

第3部では、その活動方法、人権蹂躙を受けやすい集団(特に子ども、移住労働者、難民身体障害者精神障害者)の擁護と関連NGOとの関係の発展について明記されている。

第4部では、個別の状況に関する申し立てないし申請を審理し検討する権限と、調停救済を教示し、その利用を促進することが記されている。

脚注

  1. ^ 国内人権機関の設立に向けた取り組み (日本弁護士連合会)
  2. ^ ウィーン宣言及び行動計画、第2部84節
  3. ^ 障害者権利条約、第33条
  4. ^ 国内機関の地位に関する原則 (パリ原則) (法務省)

関連項目

三権分立
追加的権力
  • 憲法裁判所
  • 最高監査機関(英語版)政府業績監査(英語版)INTOSAI(英語版)政府監査機関(英語版、フランス語版、ドイツ語版、イタリア語版)会計検査院
  • 公務員委員会(英語版)人事院
  • 選挙委員会(英語版、フランス語版、中国語版)選挙管理委員会
  • オンブズマン(英語版、フランス語版、ドイツ語版、イタリア語版)
  • 国内人権機関(英語版、スペイン語版、ドイツ語版)
  • 検察検察庁
  • 反汚職・反不正機関(英語版)
  • 五権憲法(中国語版)孫文中華民国憲法
各国
  • 権力分立 (オーストラリア)(英語版)
  • 権力分立 (連合王国)(英語版)
  • 権力分立 (アメリカ合衆国)(英語版)
  • 権力分立 (シンガポール)(英語版)
関連項目